メドック格付け委員会 会長インタビュー
メドック格付けの特集にあたり、メドック格付け委員会・会長のフィリップ・カステジャ氏にお話を伺った。誰しもが一度は抱く疑問を単刀直入に投げかけてみた。
格付けを見直す予定はないですか?
全く考えていませんね。150年以上ほとんど変わっていない。そもそも、格付けはボルドーの過去や歴史を表しているものであり、未来を表現しているものではないんだ。それ故、ワインの市場には、多くのランク付けが存在していて、その年々で、どのワインが美味しいだとか、出来が良かっただとかの、格付けが行われている。
それらは、消費者が購入しやすいように作成されたもので、メドックの格付けとは、その存在理由が異なるのだ。
1855年に作成されたものは素晴らしいものだよ。現在、61箇所のシャトーが格付けされているが、そこに入るべきシャトーで入れなかったシャトーは存在しない。もし、市場のための格付けであれば、毎年見直しをし、作り直す必要もあるだろう。断言するけれど、このメドック格付けは、畑の格付けなんだ。由緒正しい歴史なのだ。
格付けに入れなかったシャトー達はやる気をなくさないですか?
どこのシャトーが入りたいの?君は知っているかい?偉大なテロワールは全て格付けされているのだよ。素晴らしいワインを造るのに必要なことは、テロワールと気候であって、人間の力はその後にくるものだよ。更に言えば、人と違って、地質や天候は変えようがない。
人間の変化などは、自然の雄大さから比べたら、個人的な問題に過ぎないよね。それに、ポイヤックが持っているような土壌や天候を欲し、ポイヤックのワインの味わいを欲しても、その環境や味わいを作り出すことは出来ないし、変えようがない。
皆、各々が持っている環境で、各々の味わいを造りだすことに研鑽しているはずだよ。
1855年に作成された格付けですが、その前に既に決まっていたのですよね?
1755年から1855年の100年の記録を基に、たったの15日間で作成されたものだよ。それらの記録は、仲買人たちが持っていたものだけれど、その彼らの記録でさえも、何百年も前から続いた歴史の記録ということを忘れないで欲しい。
フィリップ・カステジャ氏は、テロワールを種類と表現していた。
サンジュリアンやポイヤック、マルゴーといったような広大な地区に存在する素晴らしいテロワール。小さいけれど、特別なテロワールを持つ、ラ・ラギューヌやカントメルル。どれも種類が違い、特性があると言う。
人間が出来る事は、その土地、その畑の特性を見つけ出し、それらにあった、より良いワインを生み出す手助けである。メドック格付けとは、不変の畑の優位性を語りつつ、味わいがそれを覆す評価を得たのであれば、それはシャトーや生産者、人間の努力を賞賛する指針の役割を果たしているのだと思う。
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