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SAINT JAMES PARIS 都会のオアシスで堪能する、女性シェフの料理

最終更新: 2019年5月10日



もうすぐそこは、うっそうとした木々が生い茂る広大なブーローニュの森、というパリ16区の西端。この美しい街の中でもとりわけシックな高級アパルトマンが立ち並ぶエリアだ。その一隅に、瀟洒なホテルレストラン「サン=ジェームス・パリ」がある。


パリでは珍しい一軒家の邸宅。バラやハーブが咲き乱れる緑まぶしい広い庭に抱かれた19世紀に建立されたエレガントな館で、ここがパリだということを忘れてしまうような雰囲気に包まれている。

ホテルのダイニングは、建物の構造を生かした、天井が高く、大きな窓から日の光が注ぎ込むクラシックで美しい空間。ここは長い間、ホテルゲストとこのホテルを拠点にするプライヴェートクラブのメンバーのみが利用できる、セミプライヴェート・レストランだったが。が、数年来、夜は一般ゲストも利用できるようになり、シャンデリアが煌めく華やかな空間で、多くの人々が食事を楽しめるようになった。



美しきダイニングのシェフは、笑顔がチャーミングなヴィルジニー・バスロ。ノルマンディ地方出身のヴィルジニーは、小さな頃は、空軍に入ってパイロットになりたかったというおてんば娘。小柄な体では空軍は無理、と諭され、父親と同じ料理の道へ進んだ。地元で修行後、「オテル・デュ・クリヨン」、「ル・グラン・ヴェフール」、「ル・ブリストル」という、パリを代表するゴージャスな美食の館で修行を重ね、2009年に「サン=ジェームス・パリ」のシェフに就任。2014年のミシュランガイドで、1つ星を獲得した。


パリのエレガンスとグラムールが詰まった3軒の修業先での長い年月で、ヴィルジニーは、技術、厳格さ、味への追求、異文化の自由な取り入れなど様々なことを取得したが、3軒に共通する美的センスにも強い影響を受けた。


「ル・グラン・ヴェフールの息を呑むようなゴージャスで光り輝くような内装。毎朝出勤するたびに、ほれぼれとみとれたオテル・デュ・クリヨンの外観。これぞパラスの極み、的なル・ブリストルの華やかさ。どの店も、空間の美しさが自然と料理にも投影されていました。私も今、このエレガントなダイニングにふさわしい、美味しさと美しさを兼ね備えた料理を目指しています」とヴィルジニーは言う。


彼女の料理のベースは、あくまでもクラシックなフランス料理。そこに、瑞々(みずみず)しい野菜や果物で季節感を出したり、美しくチャーミングな盛りつけで、自分らしさを演出する。一皿に乗せる食材の種類は抑え、シンプルで分かりやすい料理が中心だ。

出身地ノルマンディへの愛情も忘れず、舌平目のドーヴィル風など、バターやクリームをしっかり使った地方料理も。とはいえ、味は軽めで盛りつけも繊細で、地方料理にパリのエレガンスをまとわせて表現している。


食材一つ一つの美味しさを丁寧に、高い技術を持って美しく昇華させるヴィルジニーの料理は徐々に評判を高め、今年の星獲得につながった。日曜日は、ブランチを提供。今ではほとんど見られなくなってしまった、大きな肉のかたまりのローストや、魚まるごと一匹の塩釜蒸しなど、魅力的なブランチ。家族揃って日曜日の正餐を楽しむのにぴったりだ。


品のよいエレガンスが漂う美しい空間にふさわしい、beau & bonな(美しく美味なる)ヴィルジニーの料理を楽しみに、パリの西に車を走らせよう。





Saint James Paris

43 avenue Bugeaud 75116 Paris


TEXT : Yukino KANO

Photo : ©Saint James Paris

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