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  • 執筆者の写真33.VIN

Château Vannières シャトー・ヴァニエール

更新日:2019年5月9日



  • 日本にロゼブームは上陸するのか。

  • プロヴァンスを代表するロゼ・ワイン産地バンドールの Château Vannières(シャトー・ヴァニエール)当主、エリック・ボワソー氏。ブルゴーニュで育ち、ワイン造りはブルゴーニュとバンドール両方にて学んだ。彼から見た、ロゼ・ワインとは。




フランスではロゼ・ワインの消費量が、白ワインを抜いたという資料をみましたが。


そうだね。フランスでは白ワインの消費量はかなり減っているからね。更に、特筆すべきは、ワイン全体の消費量も減っている中、ロゼ・ワインだけが伸びているんだよ。


フランスと日本は少し気候が違うと思います。日本の夏は湿気が多いけれど、南仏のようにロゼ・ワインを楽しむ事ができますか?


ロゼ・ワインはプロヴァンスだけでなく、フランス全土で飲まれている。更に、ヨーロッパ全土、アメリカでもロゼの消費量は伸びているんだよ。暑い時期に飲むのは、当然心地良いけれど、最近では季節を問わず飲まれている。料理との組み合わせや、シチュエーションでワインは選ぶべきもの。きっと日本でも気軽にロゼ・ワインを飲めるシチュエーションはあると思うよ。


ロゼは食事に対して、万能な印象があります。


どんどんロゼ・ワインと食事を合わせてもらいたいね。そのバランス感覚に驚くと思うよ。日本食には、ロゼはぴったりだと思う。

例えば、焼き魚やお刺身には、赤、白より絶対に合う。日本食だけではなく、どんな食事にも合わせやすい。エキゾチックな料理、地中海料理にも、全てに万能なんだ。もちろんソースがたっぷりのお肉には赤ワインが合うけれど、サラダなどフレッシュな料理には、白より断然ロゼ・ワインだね。


プロヴァンスと言えば、ロゼのイメージが強いけど、どうして?


ワインも含め、全てのものは地域の気候や風土に合ったものが作られる。ブルゴーニュですばらしい赤ワインが造られるのであれば、赤ワインに合う料理が作られる。サボワ地方ではチーズをたくさん食べるから、それに合う白ワインが作られる。

ここプロヴァンスでたくさんのロゼ・ワインが造られる理由は、プロヴァンス料理にロゼが一番合うからなんだ。ニースからエクサン・プロヴァンスまでをプロヴァンス地方と呼ぶけれど、この広い地域のワイン生産の80%以上をロゼが占めているんだ。


プロヴァンスでは氷を入れてロゼ・ワインを飲むのは何故?


流行になっているね。コニャックにも氷を入れて飲んでいるでしょ。いつ始まったかは解らないけれど、定着した飲み方になっているね。僕は水で薄めているようで、もったいないって思ってしまうけれど、それがモードなら仕方がないね。 最近のロゼ・ブームやそういった現代的な飲み方によって、モダンでファッション的な飲み物だと思われているけれど、実際は、歴史的にロゼが一番古いワインなんだ。





ロゼ・ワインの歴史


人々の頭の中には、ロゼ・ワインはまじめなワインだと思われていない。赤と白に比べると、バカンス用のワインという認識がある。意外に知られていないことは、ロゼが歴史的に一番古いワインということ。ギリシャ人がフランスに持ち込んだ最初のワインは、白でも赤でもなく、ロゼ・ワインなんだ。

昔の絵をみたり、文献を読んだりすると、ブドウを足で踏んでジュースにしているものを見る。その作り方はロゼの造り方なんだ。ロゼはワインの基本、原型なんだよ。更に、プロヴァンスはフランスで一番歴史の古い街なんだ。2600年前、紀元前 600年にローマ人がオリーブとブドウの栽培を、ここマルセイユに持ち込んだ。フランスでは、ブドウ栽培もプロヴァンスから始まったんだよ。ブルゴーニュでもボルドーでもないんだ。


ロゼ・ワインの造り方


たまに、ワインとは赤と白のみで、ロゼ・ワインは赤と白のワインを混ぜて造られていると思っている方がいるけれど、その造り方が許されているのは、泡のあるワイン、シャンパーニュやヴァンムスー、クレマンなどのシャンパニゼと呼ばれるものだけなんだよ。

その逆に、泡の入っていないワインのことを静かなワインと呼ぶが、それらには赤と白のワインを混ぜてはいけない。ロゼは、黒ブドウをジュースにし、それを発酵させる。赤ワインは、そのジュースの中に皮や種を漬け込んで発酵させるため、ロゼにはないポリフェノールが入っている。また、ロゼは収穫から最短で6ヶ月で出荷できることも、特筆する部分だろう。早飲みが出来る、十分な品質を保っているんだよ。

私は生きていなかったから真実はわからないけれど、昔の絵や文献を見る限り、大昔のワイン醸造は、ブドウジュースを熟成させる事しか書かれておらず、その作り方ではロゼしか造れない。赤は、皮や種も一緒に発酵させる必要があるからね。その造り方は、現代でも生き続ける、ロゼの造り方そのものだよ。


日本でロゼ・ワインは流行すると思いますか?


日本人は赤・白をより好んでいるのは知っている。実際、人の習慣や好みを変えるのは、非常に難しい。けれど、フランスワインの歴史は、ロゼ・ワインから始まったという事や、プロヴァンスが、フランスワインの発祥の地であることを知る事で、ロゼに対する印象は必ず変わると思う。

そして、大袈裟だけれど、その醸造方法から、大昔に飲まれていたワインは、現代のロゼに最も近い存在だと感じて欲しい。きっと、今までより興味深く、美味しくロゼ・ワインを楽しめるだろう。



Château Vannières シャトー・ヴァニエール

バンドールは、プロヴァンスのロゼ・ワインの中で、最も繊細な味わいだと言われている。そのバンドールの名手の一人、エリック・ボワソー氏はブルゴーニュ生まれ、ブルゴーニュ育ちの生粋のブルゴニアン。元々、ブルゴーニュにて、家族がドメーヌを営んでいたが、祖父の代に購入したと言うお城があるバンドールに拠点を移動。

現在は、エリック氏が当主となり、繊細で奥深い味わいの、赤、白、ロゼを造っている。 今尚、多くの醸造家と交流を保っていて、ブルゴーニュの名手アンリ・ボワイヨ氏とは幼少からの仲だ。

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